社会保険は役員 1 人でも加入義務 — 手続きと保険料の考え方
法人は強制適用です。加入のタイミング、保険料の計算、算定基礎届や月額変更届など、毎年発生する手続きをまとめました。
法人は例外なく強制適用
健康保険と厚生年金保険は、法人であれば、代表者 1 人だけであっても強制適用事業所になります。従業員の有無は関係ありません。ただし、役員報酬がゼロの場合は、報酬から保険料を控除できないため加入対象外となります。
「まだ売上がないから」「1 人だけだから」という理由で未加入のままにしていると、後から指摘を受けて最大 2 年分さかのぼって徴収されます。
加入手続き
- 新規適用届 … 事実発生から 5 日以内に年金事務所へ
- 被保険者資格取得届 … 対象者ごとに提出
- 被扶養者(異動)届 … 扶養家族がいる場合
登記事項証明書(発行から 90 日以内)の添付が必要です。
保険料の決まり方
保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて計算し、会社と本人で折半します。
- 健康保険料率 … 協会けんぽの場合、都道府県ごとに異なり、おおむね 10% 前後(40 歳以上は介護保険料が上乗せ)
- 厚生年金保険料率 … 18.3%
合計するとおよそ報酬の 30% 前後。このうち半分が会社負担です。役員報酬を月 50 万円にすると、会社負担分だけで月 7 万円台になります。役員報酬を決めるときは、この会社負担分を必ず資金繰りに織り込んでください。
毎年・随時に発生する手続き
- 算定基礎届(年 1 回) … 毎年 7 月 10 日までに提出。4〜6 月の報酬をもとに、9 月からの標準報酬月額を決めます
- 月額変更届(随時) … 固定的賃金が変動し、3 か月平均で標準報酬月額が 2 等級以上変わったとき
- 賞与支払届 … 賞与を支給したとき(役員賞与を含む)
役員報酬を改定すると、月額変更届の対象になります。役員報酬の改定と社会保険の手続きはセットで考えてください。
労働保険は従業員を雇ってから
労災保険と雇用保険は、従業員を雇ったときに加入します。役員は原則として労災保険の対象外です(中小事業主等の特別加入制度を使えば加入できます)。現場作業を伴う業種の代表者は、特別加入を検討する価値があります。
負担が重いと感じたときに考えること
社会保険料は確かに重い固定費ですが、次を得ています。
- 将来の厚生年金(国民年金だけより受給額が増える)
- 傷病手当金(病気で働けない期間の所得補償)
- 出産手当金、出産育児一時金
- 扶養家族の保険料が別途かからない
役員報酬を下げれば保険料は下がりますが、将来の年金額と傷病手当金の額も下がります。短期の資金繰りと長期の保障を、どこで釣り合わせるかという判断です。極端に低く設定する前に、社会保険労務士か税理士に相談することをおすすめします。
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