在庫が増えると利益は出ているのに現金が減る
仕入れた商品は、売れるまで費用にならず、資産として計上されます。つまり在庫を増やしても損益計算書上の利益は減りません。しかし現金は仕入れた時点で出ていきます。
「利益は出ているのに資金が苦しい」という状態の代表的な原因がこれです。決算書の利益だけを見ていると気づけません。
適正在庫の考え方
在庫回転期間 = 棚卸資産 ÷ 月商(何か月分の在庫を持っているか)
この数値を毎月記録し、増えていないかを見ます。業種によって適正水準は大きく違うので、絶対値より推移を見てください。
必要な在庫量は次で決まります。
- 調達リードタイム … 発注から納品までの日数
- 需要のばらつき … 変動が大きいほど安全在庫が必要
- 欠品のコスト … 欠品で失う売上と信用
- 保管コスト … 倉庫代、管理の手間
在庫を増やしてしまう典型
- まとめ買いの値引きに乗る … 10%安く買えても、半年売れなければ資金は半年寝ます
- 欠品を恐れて多めに発注する … 欠品の記憶は残るが、滞留在庫は見えにくい
- 新商品を出すたびに旧商品が残る
- 最低発注ロットが大きい仕入先
滞留在庫の処理
売れない在庫は、時間が経つほど価値が下がります。持っているだけでは1円にもなりません。
- 値下げして売り切る … 仕入値を下回っても、現金化できるなら検討する価値があります
- セット販売、おまけ
- 業者への一括売却
- 廃棄 … 廃棄損として損金にできますが、廃棄の事実を証明する記録(廃棄証明書、写真、廃棄リスト)が必要です
「いつか売れるかもしれない」と持ち続けるのが最も高くつきます。
決算期末の棚卸
期末在庫は利益の計算に直結します。在庫が多いほど原価が小さくなり、利益(と税金)が増えます。
実地棚卸は必ず行ってください。帳簿在庫と実在庫がずれていると、利益も納税額も間違えます。不良品・破損品は評価減または廃棄の処理をすることで、実態に合った利益になります。
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