現物出資 — 現金がなくても資本金を増やせるが、条件がある
パソコンや車、不動産を出資して資本金に組み入れる方法です。500万円の壁と、後から問題になりやすい評価額について整理します。
現物出資とは
金銭以外の財産を出資して、その評価額分の株式を受け取る方法です。現金が手元になくても資本金を積める一方、手続きと税務の両面で注意点があります。
出資できるのは、貸借対照表に資産として計上できるものです。
- パソコン、車両、機械、什器
- 不動産
- 有価証券
- 売掛金などの債権
- ソフトウェア、特許権などの無形資産
労務や信用(ノウハウ、人脈)は出資できません。
500万円の壁
現物出資の総額が500万円以下であれば、検査役の調査が不要です。これを超えると原則として裁判所が選任する検査役の調査が必要になり、費用と期間(数か月)が大きく増えます。
例外として、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受ける方法もありますが、いずれにせよ手間が増えます。創業時の現物出資は500万円以内に収めるのが実務上の定石です。
評価額をどう決めるか
ここが最も揉めやすい点です。原則は時価で評価します。
- 中古のパソコン・車 … 新品価格ではなく、中古市場の相場。買取サイトの査定額などを根拠として残します
- 不動産 … 固定資産税評価額や不動産鑑定を参考に
過大に評価すると、発起人と設立時取締役が不足額を支払う責任(財産価額填補責任)を負います。「新品で30万円だったパソコンを30万円で出資」といった評価は、後から問題になります。
税務上の扱い
現物出資は、税務上は資産の譲渡として扱われます。
- 個人側に譲渡所得が発生する場合があります
- 個人が課税事業者なら、消費税の課税対象になります
- 不動産なら不動産取得税・登録免許税がかかります
「現金がないから現物で」と安易に選ぶと、思わぬ納税が発生することがあります。
必要な書類
- 定款への記載(変態設立事項として、出資者・財産・評価額・割り当てる株式数を明記)
- 調査報告書(設立時取締役が作成)
- 財産引継書
- 資本金の額の計上に関する証明書
定款に記載を忘れると現物出資は無効になります。定款を作る段階で決めておく必要があるため、後から追加はできません。
簡単な代替案
少額であれば、現物出資ではなく、法人設立後に法人が個人から買い取るほうが手続きは単純です。売買契約書と入金記録を残せば足ります。資本金を積む必要が特にないなら、こちらを検討してください。
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